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【連載】早瀬利之の先人たちのゴルフ
作家・ゴルフ評論家 早瀬 利之
作家・ゴルフ評論家 早瀬 利之

はやせ・としゆき
昭和15年長崎県生。36年鹿児島大卒業。様々な雑誌記者のあと『アサヒゴルフ』編集長。退職後作家活動。『週刊文春』の他、『夕刊フジ』で「人間グリーン」を執筆。作品に『右手・戸田藤一郎伝』『遥かなるスコットランド』剣道関係では『気の剣・剣聖十段斎村五郎』。『石原莞爾・満州備忘ノート』『満州合衆国』『石原莞爾・マッカサーが一番恐れた日本人』『精国の杜の反省会』『偉人たちのゴルフ』など。

学習力に敵はなし ―― 金井清一

最近のゴルフ雑誌は基本から外れたトリック技術ものが多い。そういう技術記事を読んだ読者にとっては迷惑そのもの。一生上達しない。本当に上達したかったら「このプロの技術だ!」と決めて取り組むことである。

今年の関東アマで優勝した庄司由選手は日大時代から陳清波プロの技術書を読み、分解写真を広げ、ビデオを見て独学した。なるほどダウンスイングでの足の送りはそっくりである。自宅の部屋には16コマの分解写真を貼って、迷ったらイメージを描いているそうだ。

プロでは、金井清一が陳清波のモダンゴルフに取り組んだ。職人プロという者は、弟子でない限り築き上げた技は教えない。部外者が教わろうとするならば、それ相当のレッスン料が要る。

しかし板橋のゴルフ練習場でアルバイトしながらプロを目指す金井清一には金がない。手っ取り早い方法は雑誌の分解写真を見て真似るか、試合先の会場に行って自分の眼に焼き付けるしかない。もちろんそれもやった。だがどうしても分からないのはアドレスでのラインの取り方。

試合先の練習場では、近くに立って観察した。クラブごとのトップの位置、ボールの位置、ボールの方向は観察できた。アイアンでのダウンブローの球筋も確認できた。

「陳さんのアイアンは音が2つあるんだ。ガツ、ドン。僕は上越から集団就職して秋葉原の広瀬無線の工場に入ってアンプの仕事をしていたから耳には自信がある。陳さんのは後にドンがくる。なぜかなと不思議でならない。ギャラリーはビデオの持ち込みが出来ないからチェックは耳と肉眼のみ。後でヘッドが上から入っているのを知る。これがダウンブローかと天下を取った気分よ」

しかしどうしても分からないのが、ピンに対してのアドレス。金井清一は1964年の関東オープンが袖ヶ浦CCで開催されたとき、陳清波の組について回った。そのホールでティーショットを右のフェアウエーバンカーに入れた。ピンの位置は右サイド。陳清波はピンの左にオンさせた。その直後、キャディーがバンカーの砂を均そうとした。ロープ際にいた金井は「キャディーさん、そのままにして!」と飛び出すなり、陳清波の足跡に自分の足を合わせて立った。その時、左肩の向きがピンより右方向にあるのを発見した。「これだ!ドローボールのアドレスだ!」と開眼。天にも昇るような気持ちで帰る。

その夜から、毎日左肩をピンの右に向けて打ち込み、それをモノにして翌年秋のプロテストに合格した。

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